消えた給付金の謎─なぜ国民は一律給付でも反対したのか?

先日、与党から国民一律で給付金を支給する案が出ていましたが、野党に加え、国民からの反対も多く、取りやめの結果となりました。

国民民主党と日本維新の会、ともに選挙前のバラマキとの批判が出たのに加え、国民の世論も反対意見が多かったことが原因となっています。

現状、自民公明で過半数割れをしている状態のため、国民民主党や日本維新の会の賛成を取り付けるにはハードルが高く、補正予算案の同意が得られないためと思われます。

もし、国民の賛成が多ければ、おそらく野党も反対するわけにいかなかったものと思いますが、世論調査の結果は一律給付に反対の回答が半数以上を占める結果となり、断念することになりました。

ただ、仮に一人5万円として、一律給付なら全国民が対象となるため、なぜ国民に反対の意見が多かったのかは不可解と感じています。

この理由としては、これまでの給付金は非課税世帯のみが対象となっていたため、現役世代は該当しないケースが多く、給付金アレルギーから反射的に反対してしまったのかもしれません。ただ、今回の案は国民全員への一律給付だったため、よくよく考えれば賛成すべきだったものの、勘違いして反対してしまった人もなかにはいたものと思います。

一方で、国民全員への一律給付の場合、子供が多くいる世帯の方が有利になります。仮に5人家族だった場合には25万円となるのに対し、独身世帯では5万円のみとなるため、独身世帯からみると不公平感が出てきてしまいます。最近は未婚率の増加で独身世帯の割合も多いため、一律給付であることを理解した上での反対であった可能性もあります。

以下は2022年の統計データになりますが、単独世帯が約33%、夫婦のみの世帯が約24%程度となっており、両方を合わせて子供のいない世帯が約57%程度となるため、一律給付には反対する人も多かったのかもしれません。

単身世帯の割合(2022年)

もしくは、過去にコロナ禍で一律10万円の給付がされましたが、その際には貯金に回ってしまった経緯があるため、経済対策にはならないので反対が多かったという可能性もあります。もしそうであるとすれば、自分も貰えることを理解した上での反対になるため、良識のある国民が多かったということになります。

ただ、おそらくは、単に給付金アレルギーで反射的に反対してしまったのではないかと感じますが、いずれにしても、給付金は支給されない結果となりました。