パナマ納税とふるさと納税の違い

以前にふるさと納税を利用したことがあるのですが、税率が高い高額所得者層にとってはお得な制度だと感じたことがあります。一方で、そもそも税金をあまり払っていない低所得者層にとってはほとんどメリットはありませんので、主に富裕層向けの節税対策といえるかもしれません。

このふるさと納税の問題点は、自分が住んでいる自治体に税金が落ちないことです。

その地域で住民サービスを受けるには、ゴミの収集作業ひとつとっても社会的コストがかかっているわけですが、そのコストを払わず、まったく関係のない縁もゆかりもない地域へ納税することで、受けている住民サービスのタダ乗りを許すことになってしまいます。

この構造はパナマへ納税することによる租税回避も同じです。

企業が日本で稼ぐためには、道路や港湾などの社会的な基盤を利用することが必要不可欠です。道路などの整備がなければ、荷物ひとつ運ぶことができませんが、それらのコスト負担は税金でまかなわれています。

そのコストを一切負担せず、縁もゆかりもないパナマへ納税することにより、本来負うべき社会的なコスト負担を回避していることになるわけです。

どちらも合法的な節税対策とはいえ、常識的に考えるとおかしな話です。

パナマ租税回避とふるさと納税はどう違う?

けれども、細かくみていけば、パナマでの租税回避とふるさと納税では多少の違いがあります。

パナマに納税したお金は日本とは関係がなくなりますが、日本のふるさとへ納税されたお金については、結局は日本国内で循環しますので、稼いだお金が海外へと流出することはありません。また、その地域の特産物などがお礼として贈られてきますので、ふるさと経済復興の意味合いもあるかと思います。

ふるさと納税で節税する人がいたとしても、特産品を提供する会社の売り上げがアップすることで、そちらでは法人税の負担が発生することになりますので、最終的には誰かが税金の負担をする形にはなっているはずです。

都市部の自治体では税収が落ちるかと思いますが、過疎化がすすむ地方経済の活性化にはメリットがあるものと思われます。

この日本で稼いだお金が海外へ流出しない点で、パナマの租税回避とふるさと納税では大きな違いがありますが、どちらも富裕層の節税対策がメインになっていますので、社会的格差の増大の一因となっているといってもよいでしょう。

この弊害を回避するには、ふるさと納税の年収による制限を課することが必要不可欠かと思います。現在、総所得金額等の40%が上限となっておりますが、せいぜい年収1千万円までの人限定という形に制限するべきものと思われます。

posted by 給付金バンザイ! at 00:00│税務処理