参院選の自公大敗で給付金一律2万円はどうなる?
先の参議院選挙では、自公が過半数割れで大敗する結果となりました。
与党で過半数割れしたため、自公での給付金案を組み込んだ補正予算案を作成しても、そのままでは通過しない可能性も出てきました。
一方で、立憲民主党も一律2万円の給付金を公約に掲げていたため、「自公+立憲民主」で過半数を超えれば、予算案が通る可能性もあります。ただ、立憲民主党の給付金案の場合、こちらはあくまで食料品の消費税減税を実施するまでの臨時的な食卓応援給付金の扱いのため、食料品の消費税減税が前提となっており、自公案とは内容が異なります。
(※出典:立憲民主党の参院選挙政策パンフレットから抜粋)
また、この食料品の消費税ゼロ%についても、原則1年間、最大2年間の扱いとなっており、最終的には給付付き税額控除の導入を目指す政策になっています。
このあたり、両党の物価高対策の給付金において、同じ一律2万円でもその中身に違いがあるため、与党が立憲民主党の協力を得られるかは不透明なところがあります。
上記を踏まえた上で、以下、参院選後の野田代表と石破首相の会見内容となります。
■7月20日、NHKの開票速報番組での立憲・野田代表のコメント
NHK小嶋キャップ:
例えば、給付金についてですね、立憲民主党もこれ掲げています。国民生活のためにですね、与党が出して来た予算案をですね、これ修正して、給付金に協力するようなお考えはあるのでしょうか?
立憲民主党・野田代表:
あの、もともと今回の物価高対策の柱は食料品、これ消費税が今8%かかっているものを0%にすると、これ軸になっていますけれども、それまでの間の当面の物価高対策については、食卓応援給付金という形で、給付金を我々も提示をしていますので、与党の案とはちょっと違いますけれども、財源もまた中身が違いますけれども、もし予算の議論になった場合には、それを実現できるように頑張っていきたいと思います。
■7月21日、石破首相の記者会見
記者:
(…略)また、立憲民主党の野田代表が昨晩、この先の国会で議論となる補正予算の中で給付の話が出てきた場合は、実現に向けて努力をするという風なお考えを表明されました。与党と立憲民主党でその財源に関する考え方は違うと思うんですけれども、この野党第1党の立憲民主党の給付の制度設計について、協力していくお考えはありますか?
また、給付付き税額控除に関する総理のお考えも合わせて教えてください。
石破総理:
(…略)野田代表がおっしゃいます、この給付というのは、やはり減税ということになりますと法律を通さねばならない。あるいはシステムというものを変更するのに、ある程度の時間というものを要すると、それでは間に合わないのではないか。ですから、それまでの間、給付という意味だとすれば、それは私どもが選挙中に主張してきたことと、そういうものと重なる部分も多々あるかという風に考えております、ある程度はあるのかという風に思っております。
要は、本当にお困りの方に早く手厚い形で支援をするということにおいて、最も有効な方策は何かということでございます。で、給付付き税額控除については、それは1つの解であるということは私自身も同じ認識を持っております。ただ給付付き税額を行います場合に、それが今の生活保護等との社会保障制度との整合をどのようにしてつけていくのかということ、あるいはこれが所得ではなくて、資産の把握というものをどのようにして正確に行っていくのか、これもかなり議論し尽くされた論点ではございますが、そのことについて、まだ国民の皆様方に十分なご理解を頂くに至っているとは考えておりません。で、こういう議論があるね、困ったね。で、この話が止まってしまってはどうにもなりませんので、それではどのようにして資産の把握を行うのかとか、今ある制度との整合度を取るのかいうことについて、これが党首討論などの場では時間的な制限もございますので、どうしても議論が言いっぱなし、聞きっぱなしになる面がございます。で、今、うん。その問題について、本当にきちんとした、解を、見い出すような、そういう努力が必要だと思っておりますし、その点については野田代表と認識を共有する部分も多いと私自身思っておるところでございます。
■7月21日、石破首相の会見を受け、立憲・野田代表がコメント
立憲民主党・野田代表:
(…略)また、あのやり取りの中で、昨日の私の会見時でのお答えの中で給付金の話がありました。えー、補正予算で給付金を実現する話。あれ、誤解のないように、あの申し上げておきますけど、自民党の言ってる給付金に賛成し、実現するために言ってるわけではありません。我々が目指してるのは、究極が給付税額控除。給付税額控除、今日触れてましたけどもね、そこは1つの解という意味では理解されてるかもしれませんが、それに至るまでの臨時時限的に、食料品の消費税ゼロ税率の実現、そのための足元の物価高対策として、食卓応援給付金と3段構えのパッケージやってるやつを、その給付金を補正予算で実現できるように頑張るといったわけであって、その全体像をちょっとよく理解されてなかったのではないかと思いますので、あえてここはきちっと説明をしておきたいという風に思います。え、以上です。
司会者:
それではご質問を受けします。ご質問ありますか?
記者:
あ、えっと、給付金の関係でお伺いいたします。あの、確認ですが、秋の臨時国会で補正予算案編成に向けて与党側から、あの給付金を盛り込むために協力をお願いできないかという依頼があった場合、応じる考えはないという理解でよろしいんでしょうか?
立憲民主党・野田代表:
我々の言ってる給付金を理解し、それ補正に要請に入れられるんだったらそれ協力しますよ。今言ってる自民党の、あの税収の上振れという、それだけの財源で言ってる給付金は駄目だと言ってるわけであって、私ども言ってんのは給付税額控除の理念に沿った形で、所得の過多によっては逆に税金も収めてもらうことになってますからね。そういうあの制度だったらいいですよという意味です。はい。
以上、ここ数日間の石破首相と野田代表の会見でした。
当サイト運営者の印象では、石破首相は消費税減税は突っぱねると想定してますが、給付付き税額控除については、かろうじて協力できる面もあるのかなという印象を感じました。おそらく、自公は給付付き税額控除で立憲民主党と協力することを約束した上で、予算成立の協力を仰ぐのではないかと感じています。
いずれにしても、参院選の自公大敗で給付金に暗雲が立ち込めてきたと感じております。