農水大臣がお米券による現物給付の可能性を示唆

先日の高市首相の所信表明演説では、一律2万円の給付金が完全に否定され、これにて現金給付の可能性は極めて低くなったと感じています。

その一方で、重点支援地方交付金の活用によるお米券の配布など、現金給付ではない現物給付の可能性は現実味を帯びてきています。

これは先日、鈴木農林水産大臣がお米券についての発言があったことから注目を集めているものです。


(※出典:令和7年10月24日、鈴木農林水産大臣記者会見概要)

既にお米券を実施している自治体もあるとのことですが、ネットで検索してみますと、お米券2千円分とか1万円分とか、地方によって金額はまちまちのようです。

この重点支援地方交付金につきましては、給付金や電気ガスの支援金など、地方自治体が物価高対策を実施するための財源として国から交付されるものです。その際、地方自治体の方から申請し、国の方で承認されたのち、最終的に国からお金が交付されるため、各自治体が自由に使えるわけではありません。

国の方で推奨メニューが設定されており、あまりに物価高対策の主旨から外れる使途の場合は認められないため、ひも付きの交付金になります。

その点、今回は高市総理が給付金を明確に否定しましたので、重点支援地方交付金の使途として、各自治体が給付金を独自に設定できる余地はほぼないと考えています。もし現金給付も可能とすれば、所信表明演説との整合性がとれなくなってしまいます。

ただ、お米券やクーポン券、あるいは商品券など、何らかの現物給付の形でしたら、給付される余地は十分に残されていると感じています。その際には、各自治体によって多少の違いは出て来るかもしれませんが、農水大臣が発言したようなお米券の可能性は高いと思います。

いずれにしましても、今月末あたりには補正予算案が出て来ると思いますので、重点支援地方交付金の規模感をチェックしてみるとよいでしょう。

ちなみに、これまでの重点支援地方交付金の規模感は以下のようになっていました。

令和4年度 2022年度 約2.6兆円
令和5年度 2023年度 約1.6兆円 (※給付金を含む)
令和6年度 2024年度 約1.7兆円 (※給付金を含む)

これまでは重点支援地方交付金の内訳として、給付金専用の「低所得世帯支援枠」がありましたが、今回は現金給付は行われないため、この低所得世帯支援枠は設定されないものと思います。

一方で、推奨事業メニューとして、さまざまな生活者支援が設定されるものと思います。その金額的な規模感、そしてメニュー内容を確認しつつ、今後の高市政権の物価高対策の本気度を占ってみるとよいでしょう。